萬葉の庭

 日本でいつ頃から庭園が作られて、どの様に利用されていたかを辿るために、萬葉集の歌から庭園を覗いてみたブログ。

 

 現存する優れた庭園や庭園跡、遺構や考古学資料など、古の庭園を知る術は今日も日々刷新されていて、わたしたちも新たな発見を目にしています。ですがその庭園がどのように利用されて楽しまれていたのかを想像するのは容易ではありません。

 新古今集にある西行の歌に「吉野山 こぞのしをりの 道変へて まだみぬ方の 花をたづねむ」があります。庭園を歌った歌ではありませんが、この中にはまだ見ぬ自然の中で花に出会う気持ちや、季節の到来を待ちかねて旅に出る西行という平安びとの心持ちをうかがい知ることが出来ます。

 萬葉の和歌には儀礼のための歌、国をほめる歌、鎮魂や王や天皇を称える歌など、さまざまな目的で読まれた歌が収録されていますが、同時に萬葉びとが自然や庭をどのように感じ、どのように行動していたかを知ることばが散りばめらています。その中から人と庭との関わりを拾い出し、読み解いていければと思います。